2025.03.26
「あの人がいなくなってから、毎日がつらくて…」
~夫を亡くした女性が、少しずつ笑顔を取り戻すまで~
※本内容は、実際の施術体験を基に構成しております。患者様のプライバシーに配慮し、内容・時期などを一部変更しております。
同じような境遇の方、またそのご家族の力になれれば幸いです。
「涙は出ないんですけど、心が空っぽで…」
ある日ご来院されたのは、70代の女性。
とても穏やかな口調で話されていましたが、どこか張り詰めた表情をされていたのが印象的でした。
問診票には、
・寝つきが悪い
・胃が重い
・動く気力がない
・最近、急に腰や肩がつらくなった
と記されており、ひとつひとつ確認していく中で、ぽつりと──
「実は去年、主人を亡くしたんです。50年以上一緒にいたから…今、何をしていいのか分からないんです」
体にあらわれる“心の悲鳴”
「ご主人が亡くなられてから、食事はどうされていますか?」
「外には出られていますか?」
「夜は眠れていますか?」
ゆっくりお話を伺ううちに見えてきたのは、心の痛みが身体症状として現れている状態でした。
・夜中に何度も目が覚める
・体がだるくて外に出るのが億劫
・胃の調子が悪く、食事量が減った
・肩こり・腰痛がひどくなってきた
・孤独感や喪失感が強く、涙が止まらない日もある
診察して分かった身体の状態
・首・肩・背中にかけての強い緊張と冷え
・骨盤の後傾と背中の丸み(呼吸が浅くなりやすい)
・脈は沈んで弱く、心包の反応が顕著
・お腹は張りがなく、少し冷たい
これは、東洋医学でいうところの**「心脾両虚(心と消化のエネルギーが低下している状態)」**に近い状態でした。
鍼灸と矯正で“心を支える身体”づくりを
施術ではまず、背中と腰部に温灸を施し、副交感神経を刺激。
骨盤と背骨の矯正は、呼吸がしやすくなる姿勢づくりを目的に、優しく調整しました。
鍼では次のようなツボを中心に選びました:
【神門】…心の安定
【膻中】…胸の詰まり感・悲しみの緩和
【三陰交】【足三里】…消化・代謝を助ける
【百会】…気持ちの停滞を和らげる
少しずつ“暮らし”が戻ってくる
初回の施術後、「体がふわっと軽くなりました」と。
2回目の施術後には、「夜に2回しか起きなかったんです。いつもは4~5回起きるのに」と変化が見られ始めました。
3回目には「今日は歩いて来ました。今まではそれすらおっくうで」と、少し照れながら笑ってお話してくださいました。
いまでは、週1回の“自分の時間”に
現在は、週に1回の通院で心身のメンテナンスをされています。
「先生と話すのが楽しみで、ここに来ると気が晴れます」とまで言っていただき、私も胸が熱くなりました。
施術中は涙を流すこともありますが、それも自然なこと。
“気持ちを外に出せる場所”として、安心して通っていただけているようです。
最後に
人生の節目には、心と体のバランスが崩れがちです。
特に、配偶者を亡くされた後の数か月~1年は、見えないストレスや孤独感に心が押しつぶされそうになることもあるでしょう。
でも、そんな時こそ体から整えていくことで、心がゆるみ、少しずつ前を向けるようになります。
ご本人はもちろん、ご家族の方も、「最近、様子が変わったな」と感じたときは、どうぞご相談ください。
“静かな癒やしの時間”を、鍼灸と手技で提供できれば幸いです。
はぴねす鍼灸接骨院
院長:永田






