2025.04.09
「毎日が休みのはずなのに、つらい」
〜退職後、心と身体に異変が出た男性の話〜
※こちらは私の施術体験を基に再構成したものです。患者様のプライバシー保護のため、一部内容・時期を変更しております。
同じようなお悩みを抱える方やご家族の参考になれば幸いです。
「最近、眠れなくて…」
ある日、60代後半の男性がご来院されました。
問診票には、「肩こり・頭痛・眠れない」といった症状が記されており、声のトーンも控えめで、どこか元気がない印象でした。
問診を重ねていくうちに、こんな言葉が出てきました。
「退職して1年経つんですけど、何か…空っぽなんです」
「毎日が自由なはずなのに、何をしても楽しく感じない」
「眠れないし、食事もあまり美味しくないんですよ」
心と体、どちらも疲れていました
この方は、いわゆる“定年うつ”のような状態でした。
長年第一線で働いてきた反動で、張り詰めていた自律神経のバランスが崩れ、
身体的にも精神的にも“無気力”のような状態に陥っていたのです。
診察で分かったこと
・首・肩の緊張が極度に強い
・背中の冷えと硬さ(特に肩甲骨内側)
・脈は沈んで弱い(気虚・腎虚の状態)
・舌は白くむくみがち、苔が厚い
・腹部にガスの停滞、軽い圧痛
これは、いわゆる“気の巡りが悪く、エネルギーが底をつきかけている状態”ともいえます。
鍼灸と骨格矯正で、ゆっくり整える
まずは、背部に温灸を当てて副交感神経を優位にする施術を行いました。
併せて、骨盤と背骨の矯正を軽く施し、神経の通り道を整えることを意識。
鍼は、以下のようなポイントを中心に。
【百会】(頭頂)…精神の安定
【神門】(手首)…不眠・不安の緩和
【足三里】【三陰交】…胃腸と全身の元気を支える
【関元】【腎兪】“気と腎”を補う中心ツボ
施術後は、少しほっとした表情で、「ああ、なんかポカポカしますね」とつぶやかれました。
数回の施術で見えてきた変化
「夜に目が覚める回数が減りました」
「朝、ラジオ体操に行く気になりました」
「昔好きだった釣り道具を久々に手に取ってみたんですよ」
こうした変化が3回目以降から見え始め、
週1回の施術を1ヶ月半ほど続ける頃には、
「妻に“最近、顔が明るくなったね”って言われました」と笑顔を見せてくれました。
心がつらいときこそ、体から整える
うつ症状や不調は、「心の弱さ」ではありません。
特に退職後は、生活リズム・社会との接点・自己肯定感が一気に変化するため、
体と心に大きな“揺れ”が生じます。
鍼灸や骨格矯正は、そんな揺れを“身体から静かに整えていく手段”です。
今は、笑顔で通われています
現在、この患者様は月に1~2回のメンテナンス施術で来院中。
今では、地元のシニア野球チームに顔を出し、後輩指導を楽しんでいらっしゃるそうです。
「自分なんかが通っていいのかな…」と不安だったあの初回の姿は、もうありません。
最後に
人にはそれぞれの「第二の人生」があります。
そのスタートが、つまずきから始まってしまったとしても、
今からでも心身は十分に立て直せます。
身体から整え、少しずつ日常を取り戻す――
それが鍼灸や手技療法の持つ、本当の力です。
同じような悩みを抱える方がいましたら、ぜひ一度ご相談ください。
ゆっくり、でも確実に元気を取り戻していきましょう。
はぴねす鍼灸接骨院
院長:永田